国内旅

いにしえの鉄路を巡る旅 3 草軽電鉄 草津温泉から上州三原まで

草津温泉に来た理由、もちろん温泉に浸かるという目的もあったのですが、半世紀以上前に廃線になった草軽電気鉄道の跡を巡ろうと思っての訪問でもありました。

草軽電気鉄道とは

草軽電気鉄道なんて聞いたことない人がほとんどでしょう。だってこの路線、昭和30年代に廃止されちゃってるから。もはや半世紀以上前の鉄道なのですよ。1915年から1962年まで存在していた鉄道です。

新幹線の駅があって駅前にアウトレットがあるあの「軽井沢」からエッチラオッチラ山越えてまた下って吾妻川を渡ってまた登って草津温泉まで全長55.5kmを3時間半かけて走っていた鉄道。

線路幅は762mm。JRの1,067mmより狭く、軽便鉄道と言われています。機関車トーマスで言えばトーマスやゴードン達とは明らかに大きさが違う鉱山鉄道のスカーローイとかピーターサムが走っている鉄道みたいなモンです。

草軽電気鉄道は、現在はバス運行などをしている草軽交通になっていて、そのウェブサイトの中に草軽交通の歴史や動画の説明があるので気になる人は読んでみると良いと思います。

 

もともと存在を知っていた熊太郎、一度その軌道をトレースしてみようと企んでいたのですが、家族を誘えば絶対「何が面白いの?それ」と120%言われちゃうので、今回どさくさに紛れて!?一人旅を敢行、この鉄路を感じに草津温泉に出かけたのでした。

草軽電気鉄道の主力機関車「デキ12」。このデキ12の1/2スケールの模型は草津温泉バスターミナルに展示してあります。(バスターミナルではマスコットキャラクターのゆもみちゃんが時折お出迎えしてくれます。残念ながら会ったことないけど)

その大昔にあった草軽電気鉄道の草津温泉駅というのは、このバスターミナルの前身ではなく

中心部からこんな離れたところにありました。バスターミナルから徒歩10分。

今じゃバスが頻繁に走っているけれど、昔はどうしてたんだろうね。乗合馬車とかあったのかな??

何れにせよ、こんな町外れの駅から湯治客はえっちらおっちら湯畑に向かったんじゃろなぁ。

リゾートマンション街の横を歩いていきます。

そうするとポツンと小さな公園が。朝、しかも雨の公園には誰もいない。

端っこに石碑があってよく見ると、

はい。ここに駅があったことを示すモニュメントでした。

草軽電気鉄道の沿革が刻んであります。大正15年に全線開通、昭和37年に廃止されたとありますね。

多分ですけど、全長55.5kmあった草軽電気鉄道で唯一残っている実際の線路はこれだけではないでしょうか?

石碑の下には線路が残っています。巻尺で測ったわけではないですが、多分762mm幅です。

廃線跡をトレースする(草津温泉から上州三原まで)

さて、ここ草津温泉駅から草軽電気鉄道は出発する。

草軽交通が公開している資料を見ると直通電車(電気機関車=貨車(温泉場の近くで硫黄が産出され、それを運んでいたようです)=客車の混合列車)は一日6往復あったようです。

ちょうど宿をチェックアウトして熊太郎が出発する時間が草軽電鉄の3番電車に近い出発時刻だったので、それと比べながら行きましょう。

草津温泉駅を10:30に出発した3番電車は以下のような時刻で軽井沢に向かっていきます。

谷所(やとこ)10:49

草津前口   10:55

万座温泉口  11:10

湯窪     11:29:30

東三原    ??

上州三原   11:38

嬬恋     11:42

小代(こよ) 12:00:30

吾妻     12:17

北軽井沢   12:28

栗平  12:36

二度上    12:55:30

国境平    13:05

長日向 13:20:30

小瀬温泉   13:30

鶴溜    13:44:30

三笠  13:56

旧軽井沢   14:01:30

新軽井沢  14:05

まず最初の駅は谷所です。Googleマップで調べると出てきます。熊太郎到着時間11:01(草軽3番電車は10:49)

うーん、何もないぞ。こちら草津方面。遠くに谷所という名前のバス停が見える。

後で紹介しますが、線路跡マップを見ると駅はまさにこの道路のところにあったようですよ。

こっちは、万座鹿沢口方面。地元の貴重な足だったのでしょうかね。

ちなみに草津温泉駅から谷所駅までは今の道路沿いじゃなくて、山の中を走っていました。

続きまして草津前口駅へ向かいます。こちらも現在の道路のところに駅がありました。

熊太郎到着時間11:04(草軽3番電車10:55着)

草津方面。何軒かお家があるくらい。

万座鹿沢口方面。確かに”草津前”のエリアだね。

現在のバス停の名前も草津前口です。バスは臨時入れて1日8本。草軽電鉄の6往復とあまり変わらん。

3番目の停車場は万座温泉口。石津平という名前だったのを万座温泉口に変えたとあります。ちょっと万座温泉からは遠いんだけどね。

石津硫黄鉱山で採れた硫黄の積み出しが行われていた場所です。

ちょっと集落があるくらいの場所です。

現在のバス停の名前は石津です。熊太郎到着時間11:12 (草軽3番電車11:10到着。あっという間に追いついてしまいました。草軽電鉄の平均速度は15kmだったって言うからね)

4番目の駅は湯窪。万座温泉口から湯窪までの鉄路はまさに今の59号線そのまま。ここを走っていたんだなぁとしみじみ。

熊太郎湯窪着11:19 (草軽3番電車11:29 完全に熊太郎リード)

ここまでの駅跡の中で一番何もない場所でした。

でもちゃんとバス停はありました。

5番目の駅は東三原。だいぶ山から降りてきました。ここは急な下り(上り)なのでスイッチバックがあった場所。スイッチバックは箱根登山鉄道が有名だよね。

次回紹介しますが、嬬恋観光案内所みたいなのがあって、そこに写真が飾ってあった。

たぶん右側の道が山側の行き止まりまで行った電車が下に降りてきた鉄路跡。(左の道路は最後に進む方向)

1つ上の写真から180度向いて撮影した写真。折り返してきた電車はこの道路の先の行き止まりまで行って2回目の折り返しをする。

で、最後ロードスターが止まっている方向に進んで万座鹿沢口方面に進みます。ロードスターのあたりに駅があったみたい。

そして6番目の駅上州三原駅到着。熊太郎11:27着(草軽3番電車11:38着)

現在の道路より内側(写っている群馬銀行より右側かな)に軌道がありました。

上州三原駅は今のJR万座鹿沢口駅近く。吾妻川を渡ったところにありました。

橋を渡ればJR万座鹿沢口駅

上州三原駅跡。次回触れますが、草軽電鉄は晩年ここが始発駅になります。この辺りに駅や整備施設や車庫があったんだなぁ。

ここまで現在の車道での計測でだいたい14km。 草軽はこの14kmを1時間かけて進んでいく。まさに時速15km(14kmだけど)

次回は吾妻川を渡ります。(”世界の車窓から”風に) 

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